外国人雇用お役立ち情報
(在留資格編)

高度専門職ビザ

行政書士 庭山隆

高度専門職ビザとは

2017年4月26日より高度専門職のポイント制度の新基準と永住要件ガイドラインの改正がスタートしました。

高度専門職とは、平成27年の入管法の改正により新たに創設された在留資格です。従来、高度人材外国人には「特定活動」という在留資格を付与することで対応してきましたが、これからは、高度専門職という在留資格が付与されることになります。

この高度専門職という在留資格をおおまかに説明すると、高度人材外国人の活動内容をイ「高度学術研究活動」、ロ「高度専門・技術活動」、ハ「高度経営・管理活動」の3つに分類し、当該外国人の学歴や職歴、年収などあらかじめ示された項目ごとにポイント計算し、その合計が70点以上の場合に、高度専門職という出入国管理上の優遇された在留資格を付与するというものです。ポイント計算の項目や、またどのような優遇措置があるかを説明していきます。

高度専門職は1号と2号に分かれていますが、最初に取得できるのは1号です。

 

 

2.『特定技能』とは

特定技能には、『特定技能1号』と『特定技能2号」の二種類があります。

〇特定技能1号:特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能要する業務に従事する外国人向けの在留資格

〇特定技能2号:特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格 

特定産業分野とは以下の14業種になります。

外食業,宿泊,介護,ビルクリーニング,素形材産業,産業機械製造業,電気・電子情報関連産業, 建設,造船・舶用工業,自動車整備,航空,農業,漁業,飲食料品製造業,

 尚、特定技能2号の対象は、現時点では、建設、造船・舶用工業の2業種のみです。

 

 

高度専門職1号

高度人材ポイント制で、70ポイント以上獲得すると、高度専門職1号として次のような優遇措置が認められます。

1、複合的な在留活動の許容

通常、外国人の方は、許可された1つの在留資格で認められている活動しかできませんが、高度人材外国人は、上記イ、ロ、ハの3つに分類した活動内容以外にも、それに併せて関連する事業を経営する活動を行うなど複数の在留資格にまたがるような活動を行うことができます。

 

2、在留期間5年の付与

高度人材外国人に対しては、法律上の最長の在留期間である5年が一律に付与されます。一般的な就労系の在留資格は最初1年や3年の在留期間が付与されることがほとんどで、その後安定してからやっと5年の在留期間が与えられます。

 

3、永住許可要件の緩和

高度専門職の方は2017年4月にガイドラインの改正が行われ、1年または3年で永住許可が取れるようになりました。(ポイントが80点以上の方は1年で永住許可が取れます)

 

4、配偶者の就労

配偶者としての在留資格をもって在留する外国人の方が、在留資格「研究」、「教育」、「技術・人文知識・国際業務」などに該当する活動を行おうとする場合には、学歴や職歴などの一定の条件を満たし、これらの在留資格を取得する必要がありますが、高度人材外国人の配偶者(同居する場合に限る)の場合は、学歴や職歴などの要件を満たさない場合でも、これらの在留資格に該当する活動を行うことができます。

 

5、一定の要件の下で親の帯同が許容される

    高度人材外国人の世帯年収(高度人材外国人本人とその配偶者の年収を合算したもの)が800万円以上であること

    高度人材外国人と同居すること

    高度人材外国人またはその配偶者のどちらかの親であること

の要件を満たしている場合には、

    高度人材外国人またはその配偶者の7歳未満の子(養子を含む)を養育する場合

    高度人材外国人の妊娠中の配偶者または妊娠中の高度専門外国人の介助や家事の支援を行う場合

に高度人材外国人またはその配偶者の親の入国・在留が認められます。

 

6、一定の要件の下で家事使用人の帯同が許容される

高度人材外国人の家事使用人の帯同については以下の要件の下」で認められます。

    外国で雇用していた家事使用人を引き続き雇用する場合(入国帯同型)

・高度人材外国人の世帯年収(高度専門外国人本人とその配偶者の年収を合算したもの)が1000万円以上であること

・帯同できる家事使用人は1名まで

・家事使用人に対して20万円以上の報酬を支払うことを予定していること

・帯同する家事使用人が本邦入国前に1年間以上当該高度人材外国人に雇用されていた者であること

・高度人材外国人が本邦から出国する場合、共に出国することが予定されていること

    上記以外の家事使用人を雇用する場合(家庭事情型)

・高度人材外国人の世帯年収(高度専門外国人本人とその配偶者の年収を合算したもの)が1000万円以上であること

・帯同できる家事使用人は1名まで

・家事使用人に対して20万円以上の報酬を支払うことを予定していること

・家庭の事情(申請の時点において、13歳未満の子または病気等により日常の家事に従事することができない配偶者を有すること)が存在すること

7、その他の優遇措置

 

高度人材外国人に対する入国・在留審査は、優先的に早期処理が行われます。

高度専門職2号

高度専門職2号とは、高度専門職1号取得者が3年以上在留し、素行が善良であり、かつ日本の利益に合致しているなどの要件を満たした場合に認められる在留資格です。

複合的な在留活動の許容・在留期間以外の優遇措置については高度専門職1号と同じです。

1、複合的な在留活動の許容

高度専門職1号で認められる活動のほか、その活動と併せて就労に関する在留資格で認められるほぼ全ての活動を行うことができます。

 

2、在留期間

高度専門職2号の在留期間は無期限になります。

 

 

高度専門職のポイント

高度専門職のポイントの基準は分野ごとに3つに分かれています。なお、2017年4月の改正でポイント計算にボーナスポイントが加算できるようになり(日本語能力試験N2合格もポイント加算に加わり、また、法務大臣が告示で定める大学を卒業している場合もポイント加算できるなど)、より高度専門職ビザが取得しやすくなりました。合計で70点以上該当する場合には高度専門職ビザ取得の可能性があることになります。(ただし、それ以外にも入国管理局が審査する内容があるため、70点以上獲得していれば、必ず高度専門職ビザが取得できるわけではありません)

 

注意事項

高度専門職ビザは申請時と同じ企業に勤めている間のみ有効です。ですので、高度専門職ビザを取得している外国人が別の企業に転職すると、変更申請をして、再度高度専門職ビザを取得しなければなりません。