外国人雇用お役立ち記事
(在留資格編)

新しい在留資格「特定技能」について

行政書士 立木宏行

1.何故、今新しい在留資格が必要となってきたのか?

それは、労働人口減少の現実があります。

65歳以上の人口の構成比は、現在は30%弱であるが、2065年には40%程度まで上昇すると見込まれています。

労働力人口は高齢化に伴い、現在よりも40%減少することが想定されています。

このまま行くと2025年には583万人の労働力不足が生じると言われています。

この労働力不足を補うためその一助として、外国人労働力が必要となってきたのです。

実際、この在留資格新設の際に出された法案提出理由には次のように記されています。

人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野に属する技能を有する外国人の受入れを図るため、当該技能を有する外国人に係る新たな在留資格に係る制度を設け、その運用に関する基本方針及び分野別運用方針の策定、当該外国人が本邦の公私の機関と締結する雇用に関する契約並びに当該機関が当該外国人に対して行う支援等に関する規定を整備するほか、外国人の出入国及び在留の公正な管理に関する施策を総合的に推進するため、法務省の外局として出入国在留管理庁を新設する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である』

2.『特定技能』とは

特定技能には、『特定技能1号』と『特定技能2号」の二種類があります。

〇特定技能1号:特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能要する業務に従事する外国人向けの在留資格

〇特定技能2号:特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格 

特定産業分野とは以下の14業種になります。

外食業,宿泊,介護,ビルクリーニング,素形材産業,産業機械製造業,電気・電子情報関連産業, 建設,造船・舶用工業,自動車整備,航空,農業,漁業,飲食料品製造業,

 尚、特定技能2号の対象は、現時点では、建設、造船・舶用工業の2業種のみです。

 

 

3.『特定技能』のポイント

1)特定技能1号

○ 在留期間:1年,6か月又は4か月ごとの更新,通算で上限5年まで

○ 技能水準:試験等で確認(技能実習2号を修了した外国人は試験等免除)

○ 日本語能力水準:生活や業務に必要な日本語能力を試験等で確認(技能実習2号を修了した外国人は試験等免除)

家族の帯同:基本的に認めない

ただし、夫婦で特定技能1号取得して入国する場合や、すでに家族滞在等で

在留している場合は除かれます。

(例えば、夫が留学から特定技能1号に変更した場合のすでに家族滞在で

在留している妻)

○ 受入れ機関又は登録支援機関による支援の対象

 

 2)特定技能2号

○ 在留期間:3年,1年又は6か月ごとの更新

○ 技能水準:試験等で確認

○ 日本語能力水準: 試験等での確認は不要

家族の帯同:要件を満たせば可能(配偶者,子)

○ 受入れ機関又は登録支援機関による支援の対象外

 

 

4.『特定技能』として雇い入れるためには

外国人を特定技能として雇い入れるためには、雇用企業様(受入れ機関)が外国人を受け入れるにあたっての基準と義務が以下の通りあります。

 

1) 受入れ機関が外国人を受け入れるための基準

① 外国人と結ぶ雇用契約が適切(例:報酬額が日本人と同等以上)

② 機関自体が適切(例:5年以内に出入国・労働法令違反がない)

③ 外国人を支援する体制あり(例:外国人が理解できる言語で支援できる)

④ 外国人を支援する計画が適切(例:生活オリエンテーション等を含む)

 

2)受入れ機関の義務

① 外国人と結んだ雇用契約を確実に履行(例:報酬を適切に支払う)

② 外国人への支援を適切に実施

→ 支援については,登録支援機関(3.参照)に委託も可

全部委託すれば1③も満たす。

※支援内容は以下の通りです。

1)入国前の生活ガイダンス提供

2)出入国 時の空港等へ送迎

3)住宅の確保

4)在留中の生活オリエンテーショ実施

5)生活のため日本語習得 生活のため日本語習得

6)外国人からの相談・苦情へ対応

7)各種 行政手続きに関する情報提供、支援

8)日本人 との交流促進

9)非自発的離職時の転職支援

 

③ 出入国在留管理庁への各種届出

(注)①~③を怠ると外国人を受け入れられなくなるほか,出入国在留管理庁から指導,

改善命令等を受けることがある。

 

 

3.登録支援機関とは

これらの関係を図示すると以下のようになります。

登録支援機関とは、在留資格『特定技能』創設に伴い、所定の基準を満たした上で、

出入国在留管理庁長官の登録を受けて支援を行う機関です。

 

 従って、受入れ機関(雇用される企業様)の果たすべき義務の一部をお手伝いする機関となります。

 

 

尚、詳細な情報は法務省ホームページの以下のサイトにてご確認ください。

http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri01_00127.html