日本ではグローバル化やダイバーシティと言った言葉が広がりを見せ、外国人の雇用を検討する経営者も増えております。実際に外国人労働者数は増加の一途をたどっています。
しかし、日本で外国人が働くためには、ビザの制度をしっかり理解し、適切なビザ申請手続きを踏む必要があります。そこで、ここでは外国人の目線で、入国管理局へのビザ申請手続きをするにあたってのポイントを順番にご紹介していきます。
○「ビザ」と「在留資格」
まず、大前提としてよく耳にするワード「ビザ」と「在留資格」について整理しておきます。正確には「ビザ」と「在留資格」は違うものを指すのですが、日本では一般的に「ビザ」=「在留資格」のことを指して使われています。実際には「ビザ」は日本へ入国するときに必要なものであって、「在留資格」は日本に入国後、日本に滞在するために必要なものと言った違いがあります。
中長期滞在するすべての外国人が何らかの「在留資格」を付与されています。
そして、「在留資格」ごとに許された範囲の活動のみを日本では行うことができるシステムになっていて、その種類は現在29種類(令和元6月末現在)あります。ここでもわかりやすくするために「ビザ」=「在留資格」の意味合いで使用していきます。
数あるビザの中でもさらに、一般的に就労ビザとは在留資格「技術・人文知識・国際業務」を指して言います。またこのビザは頭文字をとり「技人国」ビザとも呼ばれています。ここではこの資格取得についてのポイントを説明していきます。
○業種、職種選び
まず、日本の外国人受入れ政策は、あくまで専門的、技術的なスキルを持つ外国人の受け入れのみです。いわゆる単純労働を行わせるための労働力として外国人を受け入れるといった目的ではありません。例えば、店頭での販売員やウェイトレス、コンビニの店員、工場内の単純作業員などを行うためのビザは無いのです。「技人国」ビザにおいても、これら単純労働とみなされると許可は出ません。
そこで大切になるは業種や職種選びと言うことになります。
そこを間違えると、就職先は決まったけれど、その仕事ではビザが出ないと言う事態にもなりかねません。
○学歴について
日本のビザ制度では、学歴が重視されます。
技人国ビザを取るためには日本の大学院、大学、短大、専門学校、または他国での大学院、大学、短大を卒業していることが必要です。当然、その学歴を証明する添付書類が必要になります。
さらに、学んできた内容も重視され、就職後の仕事に学んできたことが何らかの形で活かせる仕事である必要があるのです。
○会社選び
入管は外国人を雇用する企業の信頼性も審査します。
よって、会社の信頼性を高めるためにも、申請書類の添付資料として、会社の登記事項証明書や定款、会社案内、財務諸表、法定調書合計表、許認可の証明書などの提出にしっかり協力してくれる就職先を選ぶ必要があります。
外国人労働者を受け入れる企業を、その規模によって4つのカテゴリー分けしています。そして、そのカテゴリーごとに提出書類の種類(量)も分かれていて、信頼性の高い企業の審査はより迅速化されています。その4つのカテゴリーを以下に示します。
●カテゴリー1・・・上場企業等
●カテゴリー2・・・前年分の職員の給与所得の源泉徴収税額が1500万円以上の企業
●カテゴリー3・・・前年分の職員の給与所得の源泉徴収税額が1500万円未満の企業
●カテゴリー4・・・法定調書を出せない新設の会社
法務省のホームページなどに掲載されているカテゴリーごとに決められた必要書類を添付して、申請を行うのですが、実際には定型の書類を出しただけでは不十分とみなされることが多いのです。
そこで、申請内容を補強するため、添付した方が良い書類と言うものが多くあります。そこが日本の入管行政、さらにはビザ取得の難しいところであり、最大のポイントともいえるところです。いわゆる日本独特の「本音と建て前」と言ったところでしょうか。ゆえに、よりビザを取りやすくするノウハウと言うものが生まれてくるのです。
それぞれのポイントは別の記事でご紹介していきます。